(5) モーツァルトと現代音楽
モーツァルトの存在、言い換えれば、モーツァルトが作曲した音楽
の存在、その全てが現代音楽に影響を与えました。
ということは、たとえば、カールハインツ・シュトックハウゼンにしても、
ピエール・ブーレーズにしても、そして、多くの優れた現代音楽作曲家
と言われる人々にしても、この人達の存在そのものが、モーツァルトが
与えた影響に他なりません。
この人達の存在、とは、モーツァルトの場合と同様、この人達の
作品のことです。偉大な作曲家と、その作品は、分かち難く結び付い
ていますから。
もう少し細かく説明しましょう。たとえば、不協和音、と言えば、
ドビュッシー、と答が返ってくる。勿論、それはまちがいではない。しか
し、モーツァルトの作品に不協和音が多いことを、多くの愛好家た
ちは知っています。また例えば、「ジュノーム・コンチェルト」で試みら
れた斬新なスタイルは、必ずしも、古典主義的調和を失ってはいま
せん。
このピアノ協奏曲は、「いわゆる名曲揃いのウィーン時代」に先
駆けて、ザルツブルグ時代に作曲した、いわば、モーツァルト若き日
の作品です。当然、その後に続く作品群には、全て「斬新な試み
と共に、古典主義者としての明澄」が、窺えます。
今度は、メンデルスゾーンのロマン主義作品の中に、私達は
モーツァルトに繋がる「見事な均衡」を深く味わうことが出来ます。
これは、ショパンが最も尊敬した作曲家がモーツァルトである、と
いうことと全く同じです。
やがて、20世紀に入り、「現代音楽」というカテゴリが、必ず
しも、隔世遺伝のように誕生したわけではないことを、人々は知る
ことになります。
では、全てのクラシック音楽に、モーツァルトの影響は?
この質問に肯定を示すことはできます。でも、肯定について
の解説は難しいかもしれません。
そこで、わかりやすく、私としては、「少なくとも、古典主義の
継承者たちに、モーツァルトの血筋を認めることは、容易」である
と、申し上げるでしょう。
それは、必ずしも、新古典主義作曲家だけに留まりません。ピエ
ール・ブーレーズに耳を傾けてみましょう。この作曲家、オリビエ・
メシアンというロマン主義的現代作曲家に学びましたが、彼自身
の志向性として、古典主義作曲家に転じました。だが、その後の
彼の作品から、私達は現代音楽の深い姿を、更に見出すことが
できるのです。
- 編集日時:2011/8/20 01:07:58
- 回答日時:2011/8/19 02:10:46
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